《特設コーナー》
分岐器の重ね合わせ方



 特殊な分岐器のうちの多くは、用地の制約から複数の分岐器を重ね合わせたものであり、このページでは大分類として「複分岐」に位置づけている。具体的には、


図A (分岐の重ね合わせ可否)

この図の着色されている部分に、他の分岐器のレールが重なり合った場合とする。なお、青い部分は重ねることができる場所、赤い部分は可動部であるから原則として重ね合わせることができない場所を示す。さて、このルールに則って、2つの片開き分岐を重ね合わせてみた場合に、どのような形態が有り得るだろうか?





@ 対向右開き + 対向左開き

 手前から奥に向かって枝分かれするもの同士を重ね合わせるる例。




 左右対称に同じ位置に重ね合わせた場合、三枝分岐になる。最初に説明した禁則(図Aの赤い部分で重ね合わせる)であるが、例外的に同じ向きのトングレール同士であれば可能である。



 それぞれ少しずれていれば、複分岐(両開き)になる。模型で、これを三枝分岐として扱う場合があるが、残念である。当然ながら左右逆でも成立する。






A 対向右開き + 背向左開き

 手前から奥に向かって右に枝分かれするものと、右から合流するもの(→反対側から見ると左開き)が重なる例。ここでは、遠くから二つの分岐を徐々に近づけて行った場合を考えてみよう。




 重なり合う直前、平凡な片開き×2台である。これよりしばらくは、図Aの赤い部分に逆向きのトングレール同士が当たり、重ね合わせ不可。



 禁則領域を抜けると、このような状態になる。当美術館では、対向・背向重複型(同方向開き/内型)と無理やり名付けた。さらにずらしていくと、トングレールとV字クロッシングが当たるため、再び禁則領域となる。ちなみに、アルファベットのKの文字のようだが、K字クロッシングとは全くの別物なので注意。



 2つ目の禁則領域を抜けると、対向・背向重複型(同方向開き/外型)になる。この後は禁則領域は無い。



 最終的には、このようになる。見覚えのある形であるが、一般的なシーサスの片側を切り取ったものに等しい。







B 対向右開き + 背向右開き

 手前から奥に向かって右に枝分かれするものと、左から合流するもの(→反対側から見ると右開き)が重なる例。Aと同様に、遠くから二つの分岐を徐々に近づけて行った場合を考えてみよう。




 重なる前は、やはり平凡な片開き×2台である。ちなみに、この線形の場合は、4進路(往復別なら8進路)取ることができ、ダブルスリップと同等の機能を持つ(斜め横断進路のみがクネクネになる短所がある)。



 禁則領域を抜けると、対向・背向重複型(両開き)になる。オーバーラップ型と称する向きもあるようだ。見た目はダブルスリップに似ているが、斜めに横断することは不可能である。



 再び禁則領域を抜けると、平凡な片開き×2台に戻る。2つの曲線路が、接触限界外まで離れれば、曲線路側の2進路に同時に列車を走らせることができるようになる(見方を変えれば、複線間の平凡な片渡り線である)。











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